公認会計士がやる!株主総会レポート

公認会計士による新興株の株主総会出席レポート

第4回 7807幸和製作所株主総会レポート2018.5.29

 第4回は歩行車・シルバーカー・杖等福祉用具製造販売の幸和製作所の株主総会です。本社は大阪府堺市です。

 2017年11月にジャスダック市場に上場した同社ですが、上場当初は高齢者・介護市場銘柄として一時は6000円を超える株価となりましたが、最初の決算発表で来期が減収減益予想ということで暴落しました。

 会場は、中百舌鳥駅から歩いて5分くらいの堺商工会議所です。非常に天井の高い結婚式場のような部屋で、机付イス24席、イスのみ24席計48席ありました。総株主数1482名に対して出席株主は15名と非常に少なかったです。プロジェクターの設置もあり、市場解説等に使用されていました。朝10時から開始された株主総会は、玉田社長が初めての外部株主を招いての株主総会ということもあり、極度に緊張されているように見受けられました。31回目の株主総会であることから、2代目社長と思われます。いかにも「南大阪の男」という雰囲気のイケメンです。

 15分ほどで終わった説明の後、質疑応答となりましたが、最初の質問者の方は予想通り最初の決算発表での減収減益予想による株価暴落を責められました。私は基本的には株価のクレームを総会で言うのはいかがなものか、と思いますが、今回の件は上場すぐの決算発表ですから気持ちはよくわかります。同社株を支持していた株式評論家も怒り狂ってましたから・・・。まあ、幹事証券会社の責任も重いと思いますが・・・。最初からの厳しい意見に社長もしどろもどろになってしまい、聞かれていることは決算説明資料にすべて記載されている基本的なことなのですが、「事務局審議」となり、相撲の物言いのような時間が過ぎてゆきました・・・・。

 その後の質疑応答の概要は以下のとおりです。

1、(質問)平成32年2月上市予定の介護ロボットの介護保険の適用はあるのか?(回答)安全性有効性が確認されれば、厚労省の方で決めるのでわからないが、過去のは適用を受けているので、引き続き努力する。

2、アルミ価格の上昇が原価悪化要因になっており、値上げ等も含めて検討中である。

3、(私の質問1)歩行車、シルバーカー、杖の当社の市場シェアはどれくらいか?

(回答)平成27年で歩行車27%、シルバーカー49%、杖17%・・・かなり高いので驚きました。なんと歩行車・シルバーカーは生産量世界一とのことです。

4、(私の質問2)転倒防止ロボット、見守りロボットの共同開発のプレス発表をしてるが、当社がどのような貢献ができるのか書かれてないので教えてほしい。(回答:開発本部長)転倒防止ロボットについてはデザイン・設計・評価(人型ダミーで転倒しないか実際にリハビリ病院で試験する)、見守りロボットについてはMJI社の技術を使い介護施設・病院で実験検証する。

5、(私の質問3)プレス発表した韓国の大型受注は継続性があるものなのか?(回答:営業担当役員)入札により受注したものなので、継続性は不明。しかし韓国は高齢化が著しく、入札案件が増えており、韓国進出を進めてゆきたい。

6、(質問)私の母が骨折したので貴社のシルバーカーを購入したが、非常にいい商品だった。友達も買いたいと言ったが、どこで買ったらいいのかわからなかった。年寄が(親族の協力なく)自分一人で簡単に買えるような販売の仕方等の環境を整えた方がいいのではないか?(回答)サポートセンター等に電話していただきたい。・・・確かにシルバーカーのブランドはまだ誰も気にしてないと思うので、幸和ブランド「TacaoF」が欲しくて買いに来る客を増やすというブランド戦略も必要かなとは思いました。

7、EC市場はシェアが低いのでがんばりたい。

8、海外は韓国に介護保険が導入され大きなマーケットとして捉えている。台湾も介護保険に近いものが出来上がってきており、営業活動をしてゆきたい。

 社長も後半は余裕が出てこられました。高齢化がますます進む中でこれほどのシェアを有しているのは魅力ですね。ロボットも見せかけではなく、開発本部長もおられ、しっかり開発に携わっているようです。今後の成長を期待したいものです。総会は50分ほどで終了しました。ペットボトルの水をいただきましたが、お土産はなしです。

 以上幸和製作所株主総会レポートでした。