公認会計士がやる!株主総会レポート

公認会計士による新興株の株主総会出席レポート

第11回 3446 ジェイテックコーポレーション株主総会レポート2018.9.27

第11回はジェイテックコーポレーションの株主総会です。同社は大阪大学発の産学連携ベンチャーでオプティカル事業(X線ナノ集光ミラーの開発製造販売)を中心に展開し、成長ドライバーとしてライフサイエンス事業(IPS細胞培養装置等)を持つ、新規上場企業としてはすっかりめずらしくなった「モノづくり」の会社です。今年2月の上場時は「上場バブル」の様相を呈していたため、2250円の公募価格に対して13490円まで跳ね上がり、その後3725円まで大暴落となり、「上場後株主全員負け組」となってしまいました。事業の展開とは全く関係ないところで株価が乱高下した同社ですが、規模はまだ小さいものの、事業の将来性・技術開発力・収益性は非常に高く、これからに大いに期待したい銘柄です。

会場は大阪堺筋本町のヴィアーレ大阪の2階会議室で午前10時より開催されました。机付きの席が105席に対して、出席株主は30名弱といったところです(総株主数3598名)。関西企業は、スタジオアタオ(神戸)・幸和製作所(堺)に続き3社目ですが、東京に比べて出席者は少ないという印象です。事業説明会もなく、株主に対して説明責任を果たそうとする意欲もいまいちであまり盛り上がりません。

社長挨拶、監査役監査報告、スクリーンでの事業報告と型どおりの儀式の後、質疑応答がありました。

(質問1)開示資料からは当社がどのような(ミラーの)生産体制をとっているのか、わかりずらい。➀今まではどのような生産体制をとっていたのか?➁新工場が建設されると生産体制は変わるのか?➂上場時の日経新聞記事によると2025年にはミラーの売上高は今の10倍以上の100億円を超える計画とのことであるが、新工場の規模でそれが達成できるのか?(回答1)生産形態は、まず材料を手配し、前加工まで外注で行い、当社で得意とするナノ加工技術EEMとナノ計測技術RADSI/MSIにより最終仕上げをしてゆく。来年に新工場ができてもその生産形態は変わらない。生産力は来年の新工場の完成により2倍まで拡充する。生産力は2倍であるが、工場の面積は5倍を確保している。これは2025年にミラーの売上100億円を達成するためのキャパシティを確保しておくためである。2025年までに生産効率を上げ、設備投資も行い、達成してゆきたい。

・・・・日経記事の売上高100億円計画が憶測記事なのか非常に気になっていました。きちんと会社計画にあることが確認できたのはよかったです。

(質問2)BSで社長は当社はミラーしてる会社で日本一やという発言を聞き、私は友達にもみんな当社の株を勧めて、買わせまくった。株価が大暴落して真っ青になった。会社に電話し、訪問して、会社の写真も撮ってきた。会社を訪問して、本当に凄い、誰も真似できない技術を持った会社だとわかった。こんなすごい会社なんだから、もっとアピールしてほしい。みんなが知っている会社にしてほしい。買わした友達がみんな不安がっている・・・・・とにかく、日本で一番なってくれ!社長がんばれ!

・・・・自分の名前も告げず、大阪のオバチャンの強烈なまくしたてでした。株価のクレームかと思いきや、最後は社長への応援演説の趣旨だということでした。

(質問3)東証1部への昇格はどれぐらいの期間をみているのか?(回答3)東証マザーズは1部への昇格へのステップアップのための市場なので、その趣旨に沿ってできるだけ早く1部昇格を目指したいと思っている。

(質問4)会社の製品はどこに納入されているのか?(回答4)ミラーの納入先は海外の放射光施設が8割である。ユーザーとしては海外の国の研究機関である。前期はドイツの研究施設が売上高の3割を占めた。

(質問5)IPS細胞による様々な再生医療が開始され始めたことが、昨今いろいろ話題になっているが、当社の細胞培養装置はこれとつながってくるのか?(回答5)当社の培養装置は大量培養装置である。IPSは創薬とか再生医療に用いられるが、創薬でも再生医療でも現場では大量なIPS細胞が必要となる。その大量に培養する技術を当社は開発している。大阪大学医学部の心臓外科の先生方とIPSの大量培養の開発を共同でしている。また、横浜市立大学の先生方と軟骨の再生医療の開発をしている。

質疑応答は以上です。55分ほどであっさり終了です。しかし成長可能性は確認できました。お土産はなし、ペットボトルのお茶が提供されました。株主優待はいらないので、新工場完成のあかつきには、工場見学させてもらいたいものです。製品も実物を見なければ実感が湧きませんね。

以上、ジェイテックコーポレーション株主総会レポートでした。